免許を取ってからの1年間の扱い
合宿免許の案内は、卒業までで終わっているものがほとんどです。ただ、免許を受けたあとの1年間には別の扱いが定められています。
この期間は合宿で取っても通学で取っても同じです。取り方によって変わりません。知らずに過ぎることが多いので、条文から整理しておきます。
標識を付ける義務は「1年に達しない」あいだ
いわゆる初心者マークです。努力義務ではなく、条文は「付けないで(…)運転してはならない」と書いています。
対象になるのは、こう定められた人です。
第八十四条第三項の準中型自動車免許又は普通自動車免許を受けた者で、当該準中型自動車免許又は普通自動車免許を受けていた期間(当該免許の効力が停止されていた期間を除く。)が通算して一年に達しないもの
読むときに効くのは「通算して」という言葉です。免許の効力が停止されていた期間は除かれるので、免許を受けた日から単純に1年後、とは限りません。
また条文は「前面及び後面に」と定めています。片方だけでは足りません。様式も内閣府令で決まっているので、似た形の自作品では要件を満たしません。
なお、以前に同じ区分の免許を受けていた人などは除外されます。再取得の場合は当てはまらないことがあります。
1年のあいだに違反すると再試験がある
もう1つ、こちらのほうが知られていません。免許を受けてから1年のあいだに一定の違反をすると、試験を受け直すことになります。
条文はまずこの1年を「初心運転者期間」と定義し、その間に違反して政令の基準に該当した人を「基準該当初心運転者」と呼びます。そのうえで、公安委員会がどうするかをこう定めています。
その者が当該免許に係る免許自動車等を安全に運転するために必要な能力を現に有するかどうかを確認するための試験(以下「再試験」という。)を行うものとする。
「行うものとする」なので、公安委員会の裁量ではありません。基準に該当すれば実施されます。
再試験に合格しなかった場合や、受けなかった場合は免許の取消しの対象になります。取ったばかりの免許が無くなり得るということです。
なお、再試験の前に初心運転者講習を受けられる旨の通知が来る仕組みもあります。講習を受ければ再試験は行われません。通知が来たら放置しないでください。
合宿で取った人に効いてくる理由
合宿は短期間で集中して教習を受けるので、卒業した時点の技能は身についています。問題はそのあとです。
- 合宿先は交通量の少ない地域が多く、都市部の道と条件が違う
- 卒業してから試験場へ行くまでに日が空くことがある
- 免許を受けたあと、車に乗る機会がしばらく無いことがある
運転しない期間があっても、初心運転者期間は進みます。条文が数えているのは免許を受けていた期間であって、運転した時間ではありません。
つまり、乗らないまま1年が過ぎれば標識の義務は外れますが、そのときの技能が1年前と同じとは限りません。期間が終わったことと、慣れたことは別です。
期間が終わっても標識を外す義務はない
条文が定めているのは「付けないで運転してはならない」という義務です。期間が過ぎたら外さなければならない、とは書かれていません。
つまり1年を過ぎても付けたままにできます。運転に不安が残っているうちは、付けておいても差し支えありません。
周囲の車に配慮を求める表示として機能するので、外す時期は自分の状態で決めてよいということです。
逆に、期間中に外して運転すると義務違反になります。洗車のあとに付け忘れる、別の車に乗り換えたときに移し忘れる、といったことが起きやすいので、車ごとに用意しておくと確実です。
レンタカーやカーシェアを使う場合
合宿で免許を取った人は、自分の車を持っていないことが多くなります。その場合はレンタカーやカーシェアを使うことになりますが、標識の義務は車ではなく運転する人にかかります。
- 車両に備え付けられているとは限らない
- 事業者によって扱いが違う
- 借りるたびに確認するのは手間になる
自分で1組持っておくのがいちばん確実です。数百円で買えるので、免許を受けた日に用意しておくと迷いません。
保険の条件も別に確認する
法令の話ではありませんが、免許を取った直後に効いてくるものがもう1つあります。任意保険の年齢条件と運転者限定です。
家族の車を借りる場合、その保険が誰まで補償するかで扱いが変わります。
- 年齢条件(21歳以上補償など)から外れていないか
- 運転者が本人と配偶者に限定されていないか
- 別居している家族が対象になるか
条件から外れた人が運転して事故を起こすと、補償を受けられないことがあります。免許を取ったことを家族に伝えて、条件を確認してもらってください。
自分で契約する場合、免許を受けた年からしばらくは保険料が高くなります。免許証の色による区分もあるので、更新までの間は条件が変わりません。
運転しない期間が続いたとき
免許を取ったあと、しばらく運転しないことはよくあります。そのまま1年が過ぎれば標識の義務は外れますが、技能は別です。
各都道府県の指定自動車教習所には、免許を持っている人向けの講習を用意しているところがあります。教習ではないので卒業証明書は出ませんが、久しぶりに運転する前に使えます。
期間が終わったことと、慣れたことは別という点だけ押さえておけば、必要かどうかは自分で判断できます。
期間中に確認しておくこと
| 確認すること | どこで分かるか |
|---|---|
| 免許を受けた日 | 免許証の交付年月日 |
| 標識を付ける期間 | 交付日から通算1年(停止期間は除く) |
| 違反の累積 | 通知が来る。来たら期限を確認する |
標識は自動車用品店などで手に入ります。レンタカーやカーシェアを使う場合、車両に備え付けられているとは限りません。借りる側が用意する必要があるかは、事前に確認してください。
免許を受けるまでの流れは卒業してから免許証を受け取るまでにまとめています。教習そのものの期限は教習には期限が4つあるを参照してください。